バースデーケーキ  理想的な家族10ー小太郎

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「ねぇ」  こころがジュースを取りに行った隙に、小太郎は良子に訊いてみた。 「カイくん、元気?」  仕事上のバディであるカイトとは、産休の間も連絡を取り合っているらしい。  良子の仕事のことには一切口をはさまない小太郎が、そんなことを訊いてきたので、良子は驚いてパチパチと何度か(まばた)きした。 「元気よ。あー、そういえば」  不思議そうに首を傾げて、小太郎を見た。 「こころの誕生日にメッセージくれたんだけど、変なメッセージだったわ」 「なんて?」  小太郎は何食わぬ顔で、そう訊いた。 「十年目、おめでとう。長生きしろよ、だって」  十歳の子に何考えてるのかしら、馬鹿じゃないの、ウケ狙いとしたら、センスなさすぎだわ。  ぼろくそに言う良子の隣で、小太郎はホッとして笑った。  どうやら僕は約束を守れたらしい。 「殺されなくて良かったよ」 「え?なに?」  ぼそりと言った小太郎の独り言を、良子は聞き咎めて、聞き返す。 「いや、なんでもない。こっちの話」 「え、何なのよ」  良子が問い詰めようと身を乗り出した時、こころがジュースを抱えて戻ってきた。
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