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「ねぇ」
こころがジュースを取りに行った隙に、小太郎は良子に訊いてみた。
「カイくん、元気?」
仕事上のバディであるカイトとは、産休の間も連絡を取り合っているらしい。
良子の仕事のことには一切口をはさまない小太郎が、そんなことを訊いてきたので、良子は驚いてパチパチと何度か瞬きした。
「元気よ。あー、そういえば」
不思議そうに首を傾げて、小太郎を見た。
「こころの誕生日にメッセージくれたんだけど、変なメッセージだったわ」
「なんて?」
小太郎は何食わぬ顔で、そう訊いた。
「十年目、おめでとう。長生きしろよ、だって」
十歳の子に何考えてるのかしら、馬鹿じゃないの、ウケ狙いとしたら、センスなさすぎだわ。
ぼろくそに言う良子の隣で、小太郎はホッとして笑った。
どうやら僕は約束を守れたらしい。
「殺されなくて良かったよ」
「え?なに?」
ぼそりと言った小太郎の独り言を、良子は聞き咎めて、聞き返す。
「いや、なんでもない。こっちの話」
「え、何なのよ」
良子が問い詰めようと身を乗り出した時、こころがジュースを抱えて戻ってきた。
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