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小太郎は閉店後の店の後片づけを終え、ゴミを大きな黒い袋にまとめると、裏口に出しに行った。まだ見習いである小太郎は、店が閉まった後も、まだまだ仕事が続く。
今思えばベタな話だが、彼は裏口に身を潜めて、小太郎を待ち構えていた。
「おい」
重たいゴミ袋を、ようやく定位置に置いた小太郎は、低い声で呼びかけられ、振り返って初めて、そこに人が立っていることに気が付いた。ごく普通のティーンエイジャーに見える若い男が、店の壁にもたれていた。
だが、小太郎は動けなくなった。
彼は殺気とまではいかないにしても、それに似た敵意と緊張感を纏っていた。
彼はゆっくりともたれていた壁から体を起こし、こちらに歩いてきた。
小太郎も背が低い方ではないが、彼は更に高かった。彼は小太郎に覆いかぶさるように、身をかがめた。
「リョーコが子どもを産む」
小太郎は何を言われたのか分からなかった。呆けたように彼を見上げ、目を瞬かせた。
彼の目にはっきりと殺意が灯った。
「リョーコはお前との子だと言っている。身に覚えはあるか?」
その時、世界の色が変わった。
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