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027:グリーンエイプ
さて、こちらの実力は示した。ラーダとジャックの実力も知りたいところだ。剣を使ってどの程度、戦えるのか。どんな感じなのか。そう思っていたら、索敵にさらに7体のゴブリンの反応が。音に反応したのだろうか?
可能性はあるな。多少は小さくなったとは言え、全く音がしないわけじゃないから。
っとと。考察はあとだ。今は皆に反応がったことを伝える。
「ラーダ。ゴブリンが7体、こっちに来てる」
「おう。こっちにも反応があったぞ」
そう言って、ジャックの名を呼び剣を抜く。
「さて、今度は俺たちの番だな」
さて、木や藪。足元には木の根っこと言った具合で、あまりいい戦闘条件ではないはずだが……どうなる?
好奇心。それと念のために銃も構えておく。もしもの時は援護するためだ。
それにしても……射線から外れているとは言え前方に人がいる状態で銃を構えるというのは、やり難いな。誤射したらと言う恐怖。ハルをみると眉間にシワを寄せている。彼女と目が合う。
「やり難いですね」
「そうだな」
でも、今後パーティを組むなら慣れる必要がある。さて、とりあえず今は目の前のことだ。ゴブリン7体をどう料理する?
そう思って見ていると、ゴブリンが草木を掻き分け出てきた。それと同時にラーダとジャックが飛び出した。そして始まる一方的な殺戮。一瞬だった。剣を一振りするごとにゴブリンの首が飛ぶ。うはっすっげぇ。援護の必要は……っておい!
「ラーダ! 索敵に反応! 数は……多数! 知らない反応だ! 囲まれているぞ!」
すると、ジャックが走って戻ってきた。
「護衛します」
ラーダから追加の情報。
「この反応はグリーンエイプだ!」
エイプ。サルか!
俺はハルに指示を出す。
「ハル。ジャックさんから離れるなよ!」
「はい」
そう言っている間に敵が視界に入った。ハルに更に指示。
「ハル。左手側の敵を! 俺は右手側。正面はジャックさんだ!」
「はい!」
こうして、俺たち4人の初めてのパーティ戦が始まるのだった。
俺とハルは銃を発砲する。
正直、冷静ではない。高揚して体が震えている。そんな自分を冷静な自分が見ている感じだ。敵が見えるたびに発砲を繰り返す。頭を狙いたいが、外すと厄介なので胴体を狙う。タァーンと一発撃つたびに体に衝撃が。
数がどんどん増えている。
「くっそ、どんだけいるんだ!」
数は多いが、耐久力みたいなのはゴブリンとそう変わらないようだ。敵は一発で戦闘不能になる。5発を撃った所で弾込めをすることに。って、ハルもかよ!
「くっそ。弾込めだ!」
「私もです!」
「スマン。ジャック! 時間を稼いでくれ!」
これは手痛いミス。なるほど。リロードが重ならないように注意しながら撃つ必要がある。それなら隙きができないはずだ。次回へ反省だな。
余裕のない俺たちに近くで剣を振っていたジャックから声がした。
「大丈夫です。お二人の所に敵は通しません。安心して作業をしてください」
その声を聞いて、少し冷静になる。
「ハル。次回の装填が重ならないようにする。まずはお前から撃て!」
「はい!」
周囲を見回す。俺とハルを守るようにラーダとジャックは適度に位置取りをしながら敵を殲滅している。こちらに抜けてくる敵は全く居ない。
更に冷静になる。すると気持ちに余裕が出てくる。そこへハルの声。
「撃ち終わりました! リロードします!」
そう言いながら作業を開始しているハル。俺は「了解!」と返し、発砲していく。合計6発(薬室1発+弾倉5発の合計6発)を撃った所で再びハルへ「リロードする!」と掛け声。ハルが返事をして発砲ということを繰り返していくのだった。
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