059:告白

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059:告白

 ギルドから報酬をもらい、宿へ帰ってきて皆と山分けした。その時に今後の相談をしたら、しばらくは休養しようということになった。  今回はかなり疲れたからな。ジャックに至っては一度死んでるし……  洒落になってねぇよ。  休養一日目。一日をダラダラして過ごした俺は、夕食を摂りに一階の食堂へ移動しようとしていた。そこでジャックの声が聞こえた。 「ハルさんは女神様です」  うん?  何だ突然。 「いやぁ、褒め過ぎだよジャックくん」  そう言って照れながら謙遜しているのはハルのようだ。 「何事だ?」  俺が階段下の席に居るであろう2人に声をかけた。 「あっ、カセさん」  そう言いながらジャックが振り返る。そして少し興奮した様子で話し始めた。 「僕。今回のこと。途中から記憶が無いのですが一度死んだって本当ですか?」  俺は頷く。 「確認したのはハルだけだが、たぶん事実だと思うぞ?」 「死んだ人間を生き返らせるなんて……素晴らしいです!」  俺は苦笑い。ハルも苦笑いを浮かべながら言う。 「あのね。ジャックくん。心肺蘇生法は誰にでもできる技術なんだよ。正しいやり方を知っているかどうか。ただそれだけ。私は教わったとおりにやっただけで」 「でも、ハルさんは僕の命の恩人です!」 「そ、それはまぁそうだけど……」 「ハルさん。僕は決めました。貴女にふさわしい男になると誓います。だから僕と付き合ってください!」  おぉ。目の前で告白しやがった。まぁ今更と言えば今更だが。ここに至るまで結構、仲は良かったからなぁ。  俺はハルを見る。ハルも一度、俺を見てから何かを決意したかのようにジャックに言った。 「う~ん。そうだね。じゃあ付き合ってみよっか」  どうやらお試しでという感じらしい。それはジャックにも伝わったようだ。 「はい! 絶対に貴女を振り向かせてみせます!」  熱いねぇ。 「さて、んじゃあ飯にでもするかな」  俺は別の席へ移動する。目の前でイチャイチャされても目に毒なので。  カウンター席へ移動した俺は夕食を摂る。するとそこに上の階からラーダが降りてきた。 「よぉ。1人か? 他の皆は?」  どうやら階段下の席に居たハルとジャックは見えなかったようだ。 「ハルとジャックはそこだ」  そう言って指を差す。そこにはハルの腕を取って握りしめ続けるジャックの姿。 「ほぉ? 進展したのか?」 「さっきジャックが告白した。ハルの答えは、とりあえずオッケーだとさ」 「とりあえずねぇ」  そう呟いて「まぁいいか」と俺の方に視線をよこした。 「よぉパパ。立ち塞がるんじゃなかったのか?」 「あん? あぁ。まぁジャックは良い青年だ。強さも知ってる。優しいのも知ってる。何を試すんだ?」  するとラーダは嬉しそうに言った。 「そうか。ジャックは合格か!」 「まぁそうだな。少なくても俺がジャックぐらいの年齢の時は、もっと腑抜けていたからな」 「そうなのか?」 「あぁ」  そんな会話を交わしているとラーダが「そうだ!」と何かを思い出したようだ。 「剣だ。以前に剣を教える話をしたな」 「そうだったな」 「よし! 明日からどうだ?」  俺は少し考えて、今日一日が恐ろしく暇だったことを思い出す。 「そうだな。明日から頼む」 「おう。任せろ!」  こうして俺は剣を習うこととなったのだった。
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