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 逃げた。当たり前だ。あんなもん勝てるか。  ……いや。もしかしたらレベルを上げてポイントを威力に当てれば可能かもしれないなと、そんな事を考えていたら頬をつねられた。  なにごとだと思って見てみれば、エリスだった。 「な、なに? どうかしたか?」 「カセ。どういうことかな?」  最近、彼女は俺には敬語が無くなった。まぁそれだけ距離が近くなったのだろう。埒もなくそんな事に気を取られていたら、エリスが怒り出した。 「ねぇ聞いてるの?」 「あっ、はい。聞いてます。えっとぉ何を怒っているのかな?」 「私を置いては逝かない。そう誓ったよね? 誓ったよね? それなのに何で一人で囮になっているのかな? かな?」  かなり怒っているようだ。 「あー。すまない。でも結果的にはそうはならなかったし、全員無事だし……」 「カセ?」 「はい。すみません」 「もう! 死ぬ時は一緒ってそう言ったじゃない! 私を看取ってくれるんじゃないの! 違う!」 「はい、すみません」 「謝っても許さないから!」  あう。本気で怒らせてしまった。するとそれを聞いていたラーダが笑った。 「あっはっは。カセ。大変だな」  ハルも同調する。 「カセさん。誓いを破ったらいけないんですよぉ」 「あう。いや。つい……」 「ダメなものはダメですよぉ」 「はい」  はぁ。ハルがエリスの味方をしている以上、もはやお手上げだ。そこにエリスが大きな独り言をこぼした。 「はぁ。付き合ったのは間違いだったかしら?」  おい。まじか。俺は慌てて謝罪する。 「ごめん。ほんっとうに二度としない。だから捨てないで!」  すると車内が爆笑の渦で包まれた。だが必死な俺はそれどころじゃない。 「エリス。ごめん。いや、マジで。二度としないから!」 「ふん!」  それでもエリスの機嫌が治らない。くっそぉ。アースドラゴンめ!  お前さえ居なければ!  いつか絶対に狩ってやる!  いや。違うな。今はそれどころじゃねぇ。 「エリス~。ごめんよぉ~」  その後も必死で謝り倒して、ダンジョンのある街に付く前には何とか許してもらえたのだった。
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