後編終章 拓海・ここから

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  「拓兄、なーちゃん達はもうすぐ帰って来るんだよ」  朝食の後に出勤の準備をしていたら嬉しそうに真也から報告があった。青森からの高速道路に乗ったと電話があったそうで、あとは7時間ぐらいは掛かると。途中途中引っかかりながら来るにしても夕方までには帰宅出来る予定だ。 「ああそうだな、良かったな」 「うん!」  凪紗の学校の入学式は4月8日だ。とりあえず間に合って良かったけど、いきなり明日が入学式は凪紗も大変だろうな。  問題がひとつあるし。  数日前に北央高校側から凪紗に入学式の新入生代表でスピーチをお願いします、の連絡が来ている。  やはり凪紗は高校入試をトップで通過していたのだ、本当に大したものだと思う。俺の妹はちゃんと有言実行をした。  事前に準備されたスピーチ原稿を読むだけらしいが、あいつはその有名税を嫌がるだろうけど。  事前に連絡のあった教科書や必要な購入物品は全て揃えてある。  母ちゃんと美音が、凪紗の好みそうな新しい文房具等もしっかり揃えていた。きっと大丈夫だと思う。    そして俺はGW(ゴールデンウィーク)に向けての『ふれあい牧場エリア』の準備に忙しくなってきた。  牛の乳絞り体験やグリーンカウンティ産の乳製品や卵、小麦を使ったカフェの併設。羊毛を使った織物の展示など、地元の人達に農業企業共同体グリーンカウンティを身近に感じてもらう為のイベントだ。準備は怠れない。  出資者の募集はまだまだ続いてるからな。  その日の凪紗達が帰宅しての夕食に俺は間に合わなかったけれど、大きな仕事を成し遂げた俺の妹は、一回り大きく成長したように見えたと美音に伝え聞いた。 8374481d-bb65-43fc-b6b6-64c8edc40e2c   79a325b9-1329-49d0-9fb8-e753f95b5c10
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