後編  凪紗・self control

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   撮影は順調に進み、最終日は摩周湖という湖を背景にしての撮影になった。  ここは知ってるわ、霧に覆われている事が多いから通称を霧の摩周湖。  ここは霧が深いのがほぼ当たり前、もし霧が一切無くてピーカンスッキリの湖を見た人は婚期を逃すとか、学校の授業で地理の先生が教えてくれた。  で、今の摩周湖展望台付近。  スッキリ晴れとるやないかい💢 (注・凪紗は普段隠してるが生粋の関西人)  しかも蒼く美しい湖の周りに、純白の雪とサファイアブルーに凍った湖とのコントラスト。今年は特に美しい凍り方だそうだ。 「おお、こんなにくっきりと晴れた摩周湖は久しぶりに見るよ」  そこの桜木さん黙って、恋する乙女の私は人知れずショックを受けてる最中なんですが。  いや、きっと迷信だ迷信。 「そう言えば言い伝えがあるわね、晴れた湖は婚期を逃すとかなんとか」  ジョーイさんも黙ってて。 「もちろん迷信よね、ナイナイ」  ジョーイさんがいい事を言った! 「いやそうとも言えない感じですよ、僕は大学の時に晴れた摩周湖を見て以来、三十才の今まで彼女無しです。もう既に適齢期逃してるでしょ」  やっぱり黙ってて桜木さん!    最後の撮影だと言うのに全くもう。  とにかく切り替え切り替え。気持ちを"白霧の姫"に同調させる。    悔いの無いように、私の中の最後の白霧の姫をここに呼ぶんだ。 a41f7c34-dfba-410e-8cef-2c257f8b3a2e 冬の摩周湖 半分凍ったこの状況が特に美しい。透明度の高い湖水はサファイアブルーと呼ばれている。  
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