洞窟

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洞窟

 洞窟探検をしている。  数人と、探検に行くときの、あのイメージの服装をしていて、帽子についているランプだけが命綱のようで、その周囲は真っ暗。壁伝いに進んでいく。  声は反響しているようで、足元を気をつけて、などと前を歩く男性は注意喚起を促した。  僕は列の三番目くらいを歩いていた。足元は細く川のように水が流れていた。  足元を見ながら、時節前を歩く人を見ながら、歩いていた。  ふと、視界の端を何かが通り抜けた。  フナムシの様な何かだった。細い川の様な水流から逸れるように、何かが横切る。また一匹、一匹と。中には魚もいて、骨だけのものもあって、そう思うと、上を見上げてはコウモリがいて。  少し楽しげな声が聞こえてくる。僕の声だろうか。前を歩く人も、後ろを歩いているだろう人も、少し楽しげだった。一番前を歩く人も、注意はするものの、楽しそうだった。  入り口からどれくらい離れたところの場面なのかは分からないが、背後も振り返ることはせず、前もずうっと暗く、正直怖い。  しかし、それよりも怖いものがすぐ近くにあった。  後ろを歩いていた人が、僕の腕を指さした。  「あ」  僕は腕を見た。  ぐにゃりぐにゃりと脈を打つ左腕。皮のすぐ下に、幼虫がひしめき合っていた。  僕は悲鳴を上げて飛び起きた。
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