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「それに研究開発一課では、猫被っているからか、評判いいみたいだけど、他じゃあんまりいい話、聞かなかったわ。
篤くんの同期に聞いたけど、おとなしそうな顔して遊び歩いているみたいだし。」
図星だったのか彼女の顔色が少し悪くなった。
でもここで怯んでいたらダメだ。
がんばれ、私!
「それで私にどうしろとおっしゃりたいんですか。」
「篤くんを返して!」
「あっ…篤さんは物じゃありません。そんなこと言うなら、なぜ10年も放ってたんですか。
彼の家だって連絡方法だって知っていたでしょう?」
「私が、父の海外赴任についてフランスに行った後、メールしたのに返事が来なくて、諦めてたとこはあるわよ。
篤くんはかっこいいし、人気あったから新しい彼女も出来ちゃったんだろうと思って…
でも大学卒業して、帰国する時に就職先をIDコーポレーションにしたのは、再会出来るかもって考えたからだし、研究室まで一緒だった優香が篤くんはずっと1人だったって教えてくれたから望みはあると思っていたのよ。
それをたった1年そこそこで、出てきて彼女?
あなたみたいな平凡なくせに性悪な女は、篤くんにも飯田の家にも相応しくないわ。」
ホント言うとパパの目を盗んで一回だけ出したメールは、エラーになり届いていなかった。
それで連絡取るの諦めちゃったんだ。
帰国して優香から、篤くんがずっとひとりだったって聞いて、やっぱり篤くんは変わっていないって嬉しかった。
だから私が篤くんを毒牙から守るんだ。
「あなたは相応しいんですか?」
「当たり前でしょ。家の釣り合いも取れてるし、秘書としての経験もあるわ。あなたはただの子会社の事務でしょ。彼が本社に戻った後サポートできるの?」
私の言葉に言い返せなくなった彼女はそのまま走って帰って行った。
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