新生活と新しい恋

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マーケティング課は、5階の半分を占める大所帯。自分の席がわからないので、とりあえず課長を探す事にした。 座席表で確認すると一番奥のようだが、その前のソファーで熟睡中の人がそれっぽい。 もう始業時間だし、起こす事にした。 「すみません。藤谷(ふじたに)課長ですか?今日からお世話になる木暮音羽です。」 「俺は徹夜明けで眠いから、他のやつに聞いて勝手にやってくれ。」 「はい?課長、仕事してください。」 全く起き上がらない課長に期待するのはやめて、他の人に自分の席を聞いて、ようやく座ることができた。 周りの人に教えてもらった私の仕事は、主にお客様アンケートの集計、海外向けHPの「お客様の声」に寄せられたご意見の翻訳とそれに対する回答を各部署に作ってもらった原稿を元に訳して返信する事がメインだ。 当然、英語が多くなるがフランス語、ドイツ語、ロシア語などもあるので、私のような多言語の読み書きできる人間が、ここには何人かいるらしい。 もちろん市場調査や販促活動など各担当は、忙しそうに走り回っているので、私のように一日中それにかかっているわけではないから、私が苦手な言語の場合は、いちいち呼び止めてお願いしなければならない。
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