新生活と新しい恋

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「上役が来る会議くらい、ちゃんとしてないとうるさいんだよ。 じゃあ、今から時間外だから。」 奥の会議室でヨレヨレのワイシャツとスラックスに着替えるとスーツを机の後ろのロッカーに入れる。 頭をぐしゃぐしゃにして、タオルケットを持ってソファーに向かう姿は、髭がないだけでいつもの課長なのに、さっきの姿が忘れられず落ち着かない。 こんなギャップでやられるとは思わなかった。 私はワーカホリック課長を好きになってしまったみたいだ。 私には過去、好きになった人は篤くん1人しかいないし、結構拗らせた自覚もある。 新たに好きになったのが、上司となるとこれから仕事を頑張ろうと思っていたのに、何やってるの?と自分で問いたくなる。 しかもこんな簡単に恋に落ちるとかないでしょ⁈ その日は、気もそぞろで小さなミスをしては、やり直すという最悪な1日だった。 こちらが、勝手に思っているだけなので、課長と何かある訳もなく淡々と毎日が過ぎていく。 異動して2ヶ月ほどが経ち、仕事もみんながなんとなく落ち着いた11月終わりの金曜日、私の歓迎会と早めの忘年会を兼ねた課の宴会が行われた。 この2ヶ月でだいぶみんなと打ち解けられたので、30人ほどの課員とは、何かにつけて話ができるようになっている。
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