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ただ、課長だけはボサボサの時はまだいいのだが、ビシッと決められると上手く話が出来ない。
そして今日の午後、部課長会議があったため、オン状態の課長がそのまま宴会に来るという、私にはうれしい…いや、困った状況になっている。
「どうした?音羽、元気ないな。」
海外経験のあるメンバーが多いためか名前で呼び合う人が多くて、みんな『音羽』と呼んでくれるようになったけど、課長に名前で…しかも今日の課長に呼ばれるのは…キュンキュンしちゃって、落ち着かない。
「だ…いじょぶ…です。」
「酔ったか?」
はい、あなたに酔いました。
心の中で返事する。
黙っていることをごまかすため、ついついお酒を飲みすぎていた。
なんとかお開きの時間になり、立とうとしてふらつく。
「おっと。飲み過ぎたか?」
低めの少しぶっきらぼうな声が頭のあたりから聞こえ、抱きとめてくれているのが、課長だとわかって嬉しくなる。
……けど焦る。
「おい、幹事!音羽が潰れたからタクシー乗せて送るから、二次会はみんなで行ってくれ!」
「課長、音羽をちゃんと送ってくださいね。二次会の場所、教えますか?」
「いや、帰って仕事の残り片付けるから。そのまま帰るよ。」
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