幼い恋

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一度タガが外れるとつい周りを気にしなくなってしまうものなのか高2になってから、放課後、学校の空き教室で篤くんといちゃつくようになっていた。 もちろん、そこでは最後まではしないけど、一緒に過ごせる場所が高校生のふたりには、ほかに思いつかなかった。 そんなある日先生に見つかり、ふたりとも親を呼ばれ厳重注意、自宅謹慎処分になった。 パパは怒り狂い、篤くんの家に怒鳴り込んだらしい。 私は、怒られたあげくスマホを取り上げられ、篤くんとも優香さえとも連絡が取れなくなっていたから、ママから聞いた話だけど。 私はそのまま単身赴任していたパパの赴任先のフランスに連れて行かれる事が決まり、夏休み中にクラスメイトに挨拶をする暇も与えられる事なく、家族で引っ越すことになった。 「優香には引っ越すこと話したい。」 渡仏前日にやっと許されて、自宅の電話で優香にかけるとすぐに会いに来てくれた。 「優香、来てくれてありがとう。」 すでに荷物が、何もない私の部屋で優香と抱き合って泣いた。 「離れてても友達だからね。」 そう言って優香は、自分のスマホを貸してくれた。
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