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「優香、久しぶり。」
IDコーポレーションに帰国子女として秋採用で入社した私は、1年半総務課に勤務した後、秘書課に異動になった。
その年の春、優香が院卒の美人リケジョとして技術開発部に配属になったと聞いて、早速昼休みランチに誘った。
「音羽、久しぶり。飯田くんにはあれから会ったの?」
「会社で会えたら声かけようと思ったんだけど。」
「やだ。知らなかったの?飯田くん、ここにはいないよ。」
優香の言葉に驚く。
「どういうこと?」
「飯田くんね。やりたい事があるからって立花科学に入ったの。正確には私と同期採用だけど、採用と同時に出向扱い。研修は何回か来ていたけど、後半は向こうの研修に出るからって来ていなかったよ。」
完全にすれ違い。
偶然を装うつもりが、失敗した。
ここまで待ったのだから、篤くんは彼女作っていないと優香も言うし、もう少し大丈夫だろう。
そう思った自分の行動を悔やむ事になる。
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