父との約束

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「もしも、おまえの周りで救難信号を発する人がいれば力になってやれ」 「はあ? あんだよそれ」 「おまえならできる」 「うぜえよ」 「……おまえは俺に似ている。困ってるやつの助けになってやれ」  それが病室で聞いた父の最後の言葉だった。病に伏せていた父はそれから数日後、あっけなく逝った。  それから父の言葉はじわじわと胸に沁みた。  仏壇に手を合わせ、誓う。  みつけたら力になる。そう約束した。
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