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それからしばらく、わいはウルトラクイズの為にいろいろ奔走した。
クラスに戻ると、健ちゃんは次の本「赤ヘル軍団応援歌」という本を渡されて熱心に読んでいた。
南向さん、いったいこんな本どっから持ってくんねん?
教室を見回すとみんな本を読んでいる。アカン、ほんまにみんな外に行かへんようになってまうわ。
でも、それも今日までや!
わいは給食をかきこんで食べ終わった後、教室の前に出てみんなに声かけた。
「ちょっとみんな聞いて! いきなりですが、これから白岳小学校横断ウルトラクイズを始めたいと思います。参加したい人はご飯食べたあとに運動場に集合してください」
みんな、キョトンとしとった。チラッと南向さんを見たけど、反応はなかった。しゃあない、奥の手いくか。わいは河路先生に「お願いします」と声をかけた。先生がギターを取った(河路先生はギターが上手で音楽の授業にもギターを使ってるんや)。
先生のギターが始まる。アメリカ横断ウルトラクイズのテーマ曲。おおーって声が上がる。……リクエストしといて良かった。よし!
「勝てば天国、負ければ地獄、早く来い来い木曜日!」
だれかが「今日は水曜やけど」と呟いた。
「みんなー、白岳小に行きたいかー!」
「…… いや、ここ白岳小やで」
「運動場に行きたいかー!!」
「……」 反応なし。
「と、言う訳でこの後、まず○×クイズを運動場で行います。やりたい人は運動場に集まってください」
わいの掛け声には反応してくれんかったけど、教室がザワザワし出した。
「本当に?」
「マジかー、俺やるわ」
「私ウルトラクイズ好きー」
って声が少し聞こえて来た。
チラッと南向さんを見る。
ヨシ! あと一押し。
「先生次の曲」
先生にクイズに答えて勝ち抜けた時のテーマ曲を弾いてもらった。
やっぱ、音楽あると全然違うわサイコー!
南向さんがパタンと手に持っていた本を閉じてガタンと椅子から立ち上がった。
ヨシ! とわいは小さくガッツポーズをした。
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