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ところが、冬になっても、キリギリスはエサに困ることはありませんでした。むしろ、多くのエサに囲まれて、裕福に過ごしているのです。
リーダーは不思議に思いました。夏の間、ずっと遊んでいたキリギリスに、エサなどあるはずないのです。
「やあ、アリくん。なぜ僕がエサを持っているのか不思議なんだろ」
キリギリスがリーダーに話しかけてきました。その顔には嫌らしい笑みが浮かんでいます。
「君のところの若いアリが、僕にエサをくれるんだよ」
リーダーはその言葉に、驚きを隠せませんでした。
キリギリスが言うには、キリギリスの演奏のファンがアリ達の中にいるとのことです。そのアリが、巣の中のエサをキリギリスに持ってきてくれるので、キリギリスはエサに困ることもないのです。
「アリくん。必死に働く時代は終わったんだよ。これからはいかにサボってエサを手に入れるかが大事なんだよ」
キリギリスはそう言って、リーダーの元を離れました。リーダーはあまりのことに、しばらくその場から動くことができませんでした。
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