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「……今日は一緒に帰るか?」
「まー、気が向いたらねぇ〜」
勝手に俺の首で手を温めながら発せられるダレた覇気のない言葉。
「ふっ……だな?」
緩いやり取りなのに、ちょうどよくて落ち着く。
縛りのない適当さ。
なのに、確かに感じる三木の温もり。
「こらーっ!!お前らキャプテン同士、体育館で堂々とイチャついてんじゃねぇぞーっ!!」
気づいたらしいトモが叫んで俺と三木はただ目を合わせる。
「愛だの恋だのでイチャイチャしたいならせめて体育館から出ろ!」
更に投げかけられた言葉を聞いて三木と笑ってしまった。
「“愛”?」
「“恋”ってぇ~!!」
ほぼ同じタイミングで吹き出す。
「「そんなん必要ない!」」
ハモった俺らの前に現れたのは呆れたような顔の菊川。
「それなのに色ボケにしか見えないのは何でかしらねぇ?」
ため息を吐いて三木の腕を引いた。
「ほら!朝練!いい加減始めるでしょ!」
菊川に引きずられながら三木は笑ってヒラヒラと適当に手を振る。
その姿にフッと笑ってから俺はスゥッと息を吸った。
「朝練、始めるぞ!整列っ!」
まだ寒さの残る体育館。
エンドラインにサッとみんなが並んだのを確認してコートを見る。
「お願いしますっ!!」
俺の声の後にみんなも続いて頭を下げた。
「ランニング!」
走り始めると女バスもラインで並んでいるのが見える。
頭を下げてから顔を上げた三木と目が合って、三木はベェッと舌を出した。
俺らだからな。
ま、こんなもんだ!
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