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「彼女ベタ甘の構ってちゃんだったのかー」
話し終えると、リョウ先輩はポンポンと俺の肩に腕を回したまま叩いてくる。
「お互い合ってなかったんだろ?」
「そ!それで女苦手になるのは勿体ねぇぞ!」
リョウ先輩とウエ先輩、左右それぞれから覗き込まれて黙り込んだ。
「セイにバカップルイメージなんて全然ないじゃん?それなのに……相当無理したんだろ?」
無理していた自覚はあるが、今まで別れたのを勿体ないと言われることばかりだった俺はグッと込み上げてくるものを必死に抑える。
「かわいい子なんていっぱい居るじゃん?」
リョウ先輩が笑い出すと、
「お前らの学年なんて騒がれてた女子多いしな」
ウエ先輩は外を見ながらのんびりと言って笑った。
「あー!金髪美女!しかも、あの子バスケ部だろ!?」
思い出したらしくテンションが上がるリョウ先輩。
これは……今彼女ってことになっていると言うべきか。
「ま、無理して元カノ忘れる必要はねぇし、今、誰かを好きにならなくてもいいんじゃね?いつか一緒に居ても苦じゃない子が現れるかもだろ?」
「一緒に居ても……苦じゃない?」
思わず呟くとリョウ先輩は笑いながら体を起こした。
「何?もう居んの?」
ニヤリと笑われて再び黙り込む。
浮かんでしまったのは三木の顔。
タルそうに……でも、めちゃくちゃ笑って、真剣な顔でバスケをする姿。
「もう元カノはトラウマじゃなくて思い出なんじゃね?」
言われて、俺はすっかり冷えた肉まんにカブりついた。
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