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「初詣って……神社行くのか?」
「そうだよ!知らないの?」
「知ってるわ!!」
「あぁ!教会とかかと思った?」
にこにこ笑われて俺は口を噤む。
「père……あ、お父さんって言った方がいい?三木紳一郎ってめっちゃ日本人でしょ?だから、一日はお節とかお雑煮食べて初詣行くのよ!」
確かに三木はハーフだし、三木の家で家族写真は見かけたから知ってはいたが……いざ聞くとすんなり想像ができない。
「私だって日本で生まれてずーっと日本で育ったもん!年中行事だって日本が基準よ!」
もう飲み終えたらしい三木は缶を捨ててグッと伸びをする。
「クリスマスはフランスでは……って言ったばっかだろうが」
甘さばかりが口に残るようになって俺は缶の残りを口にできないままため息を吐いた。
「あー、確かに?……ま、イイトコ取りぃ?」
にこっと笑われて俺は甘ったるい残りを飲み干す。
「都合いいな」
「いいでしょ〜?で?行かない?」
「……寒い」
俺も缶を捨てて部室へと歩き出すと、三木も隣に並んで歩き出した。
「そうなんだけどさぁ……何か年が明ける瞬間を一緒に過ごすって……ちょっと凄くない?」
「そうか?」
三木の顔を見るには少し見上げる必要があるために、俺は隣を見ない。
普段、俺の方が身長が低いとか特に気にはしなかったが、彼女……と思うと少しおもしろくなかった。
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