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「ま、人混みとか面倒だけどねぇ」
自分から提案したくせに本当に面倒くさそうに声を伸ばす三木。
「じゃあ行かなくていいだろ?」
解決、と決め込んでフッと力を抜くと、
「マジでっ!?そこは行く流れじゃねぇの!?」
トモがどこからか走ってきた。
「は?お前、どこで見てた?」
睨んでやってもトモは「まーまー!」と俺の肩を叩いて笑う。
持っていたバッシュで殴ってやろうかと思いつつ、俺はため息を吐いた。
「俺らと一緒に行く?」
「絶対ヤダ」
カブり気味で断ると、三木はくすくすと笑い出す。
「ごめんねぇ。小嶋と二人で行ってもいい?あまりにもの寒さでファミレス入ってそのまま帰る可能性もあるから」
笑っているが、本当にそうなりそうな予感しかしない。
「だから、行かなくていいだろーが」
もう何度目かのため息を吐いても三木はただ笑っている。
「えー?気分じゃん?」
トンとぶつかられて黙っていると、トモがフッと笑った。
「……何だよ」
「いや、ごめん。邪魔したわ」
「は?」
トモがパッと手を顔の前にやって走り出して、俺は思わず三木を見る。
「二人っきりにされちゃったねぇ?……ドキドキする?」
「しないな」
ギュッと手を握られても俺も特に思うこともなくそのまま返した。
「ね、平和〜」
なぜかそのまま手を繋いで歩き、でも、特に気にもならなくて振り解こうとは思わない。
妙にしっくりきて手を繋いでいたのを忘れるほどだった。
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