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「セイって……」
部活終わりにダイが何かを言いかけて止めたのに気づいて首を傾げる。
「何だよ?」
聞いてもダイはチラッとこっちを見るだけでため息を吐いた。
「は?」
意味がわからずバッシュを脱いで上だけパーカーを着る。
タオルで額に滲んだ汗を拭っていると、また視線を感じてダイを見た。
「だから、何?」
「……お前さ、意外とベタ甘なのな」
「は?」
言われた言葉の意味がわからない。
「年越し、手繋いで歩いてただろ?」
ジャージを着てからこっちを見られて、俺は黙ったままダイを見た。
「え!?マジで!?」
反応して騒ぐトモにタオルを投げて黙らせる。
「あーでも、最近アリスちゃんと距離近いしちょいちょい手繋いでるよな?」
それでもトモはタオルを剥いでニヤリと笑った。
「……」
「めちゃくちゃラブラブ過ぎてどうしようかと思ってたぞ?」
ニヤニヤするトモの後ろでコタとユウも小さく頷いて、ダイは足を投げ出しながらもう一面のコートに居る女バスの方を見る。
三木たち女バスも練習を終えて、三木は周りと笑いながらバッシュを脱いでいた。
「アリスちゃんの方が身長デカいわけじゃん?キスとかってさぁ……」
「……」
そんな話題に付き合うつもりはなくて、さっさと荷物を持って立ち上がる。
フリで付き合っているんだからキスなんてするはずがない。
ただ、何となく寒くて近くなっていたのがラブラブとかベタ甘なんて言われるとは思わなかった。
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