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コンビニを出た瞬間に寒いと身を縮める三木をゼリーなんか食べているからだろうと思いながら前に立って風除けになる。
と言っても俺の方が背は低いから完全に隠してやることはできないだろうが。
「あー、早くあったかくならないかなぁ」
背中にくっつかれて空を見上げるが、目に入るのは雪でもまた降ってきそうな黒い雲。
「むしろ、雪降るんじゃないか?」
コートのポケットから自転車の鍵を出して三木を見ると、三木はうぅぅっ、と小さくなっていた。
思わず笑うと、三木は首を傾げながらこっちを見上げる。
「……ラブラブのベタ甘だってよ」
「んー?」
部活終わりに言われたそのままを口にすると、三木は俺の背中に頬をくっつけた。
「いいのか?そんなこと言われてるらしいぞ?」
「えー?小嶋は嫌〜ぁ?」
「……そうでもないな」
「ならいいじゃんっ!」
考えてから答えると、三木は笑って俺の左腕に腕を絡めてくっついてくる。
「寒いし……無理してないなら……ダメ?」
ギュッとくっつかれると歩きにくいが、三木が居る体の左側はあったかくなる気がして俺も苦ではない。
「なら……いいのか?」
「いいんじゃない?」
腕にくっついていた三木の手が俺の手のひらに重なって指が自然と絡んだ。
「冷てっ」
「ふふっ」
こいつとだとこの方がしっくりくるから仕方ない。
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