俺たちらしさ

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「お互い干渉しないし、どっちも普段のペースは変えない。しかも、それでいいから付き合えるんじゃないの?」  その顔にはもう涙の気配はなくて、どこかスッキリとしたようにも見える。 「気づいてる?今、ちゃっかり手繋いでるけど」  笑われて見ると、確かに俺たちはしっかり指を絡めて手を繋いでいた。  どっちからいつ繋いだのかさえわからないほど、俺たちは当たり前のように寄り添っていたらしい。 「毎日メールして休みの日は一緒に過ごして……そんなことしなくてもミキと小嶋くんは十分カップルよ!ってか、もう熟年夫婦の域でしょ?」  あーあー!と首を回す菊川を見ていると、 「小嶋ぁ」  いつもの間延びした声で呼ばれて隣を見上げる。  瞬間、柔らかい唇が触れて俺は瞬きを繰り返した。 「……ドキドキした?」  ゆっくり離れて角度をつけたままで笑う三木。  垂れた前髪から覗く碧い目にドキドキと心臓が騒ぎ出す。 「お、前……」  さすがに目を見開いてパクパクと口を開けると、三木はケタケタと笑った。 「もー、二人で好きにして」  手を振って去っていく菊川の後ろ姿を見て、見られていたことに気づいて更に焦る。 「お前はバカなのかっ!?」 「えー?じゃあ、今なら二人きりだから今度は小嶋からして!」  スッと目を閉じられて俺はキョロキョロと辺りを見た。  確かに他に人は気配はない。  だけど……ここでするのか!?  しかも、少し屈まれていることに気づいて何となくおもしろくない。
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