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「何言ってんだ……」
「えー?」
フィッとそっぽを向いた俺に三木は目を開けながら笑って、握っていた手を更にギュッと握った。
「そんなに照れちゃったの?」
「はぁ?」
歩き出しながら言われて眉を寄せる。
「真っ赤」
耳を指で突付かれて慌てて空いている反対の手で塞ぐと、三木はまた笑い声をあげた。
手を離した瞬間に今度は頬にキスをされて顔から火でも出ている気がしてくる。
「おまっ!誰が見てるかわかんないだろっ!!」
「んー?いいじゃん、別に」
笑って気にせず歩く三木を半歩後ろから睨んでやった。
それでもいつの間にか隣に並んでいて、俺たちは部室棟までやってきてからやっと手を離す。
帰りの待ち合わせなんてしない。
勝手に着替えて勝手に帰って……タイミングが合えば一緒に帰るだけ。
「ねぇ、このままでいいよね?」
歩き出してすぐに振り返った三木。
「何が?」
「私たち……」
その声がいつも以上にハリがなく聞こえて、俺はちょいちょいと手招きをした。
不思議そうな顔をして歩いてくる三木。
「フリじゃなくてちゃんと付き合うんだろ?」
パッとその手を引いて抱き寄せると三木はびっくりしたように目を見開く。
だが、すぐに腕を俺の首に絡めて抱きついてきた。
「うんっ!へへっ!」
嬉しそうに笑ってまたチュッと素早くキスをされる。
「……お前なぁ」
「ドキドキするね!」
本当、こいつには敵わない。
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