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「いやぁ……」
部室のドアを開けた瞬間にトモにニヤニヤされて、俺はため息を吐きながらドアを閉める。
「見せつけんなよ〜ぉ」
肩に肘を乗せられても反応しないまま、俺のかばんがある棚の前まできた。
「まさかのチュー!そりゃ、背が高いアリスちゃんからなら普通にできるわな!」
「……うるさい」
声のトーンを落として口を開くと、トモは俺の背中をトントンと叩いて手を離す。
見られていたなんて居た堪れない。
それでもできるだけ平静を装って、部室にある半分曇りガラスの窓を軽く睨んでため息を吐いた。
「はいはい。……で、今からみんなでウエ先輩ん家でバスケするけどセイも行く?」
「は?」
もっとからかわれるかと思ったのにあっさりと変えられた話題。
しかも、普通に誘われたことにびっくりした。
「何、アリスちゃんと約束でもしてんの?」
「いや」
首を振ると、トモはニッと歯を見せる。
「なら行かね?今日はリョウ先輩とモト先輩も来るってよ!」
三木と居たのを見られたのにいつも通り誘われたことに軽く感動してしまった。
「まだバスケすんのに着替えんのか?」
言われて脱いだジャージをそのまま着ると、トモは笑いながらダイを見る。
「ヨッシーとリキは先に行ってんだから、行くぞ」
リュックを肩にかけたダイを見て俺たちもかばんを持った。
「あ、セイ借りてくなー!」
部室の鍵を締めている間にトモが叫んでいるのが聞こえて顔を向けると、三木が笑っている。
「まだバスケするの?頑張れー」
タルそうに手を振る姿が三木らしい。
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