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キュッとモト先輩がバッシュを鳴らして左にドリブルを切り替えた瞬間を狙ってボールに手を伸ばす。
指先で何とかボールを弾いてそのまま一気に走った。
「いっけーっ!セイっ!」
リョウ先輩の声を聞きながらレイアップを決める。
すぐに追ってきていたモト先輩がトモにボールを出したが、そのタイミングでかけてあったタイマーが鳴った。
「うぇ〜い!勝ちー!」
リョウ先輩が両手を突き上げて飛び跳ね、ウエ先輩が倒れ込む。
「上松ぅ!動いてなさ過ぎじゃねぇのー?」
「うるせぇ!お前、ほぼ何もしてねぇだろ!」
言い合う先輩たちを見ていると、モト先輩に後ろから肩を組まれた。
「お前、うまくなったな!」
弾んだ息を整えながら言われて思わず口元が緩む。
パス回しもシュートもドリブルも一番身近に居た憧れの先輩に言われて嬉しくないわけがない。
「そりゃあ、プライベートが充実してますから〜?」
タオルで汗を拭きながら俺のペットボトルを投げてきたトモ。
「そうなのか!?」
地獄耳らしいリョウ先輩まで加わって逃げようとしたのに、モト先輩に更に腕まで確保された。
「んー?トラウマだの何だの言ってたのに……彼女でもできたのかー?」
「そーなんですー!」
リョウ先輩にニヤニヤしながら腕で突付かれて俯くと、勝手にトモが答える。
「お前だって今は彼女居るだろうが!」
「俺は同高じゃねぇからお前らみたいに毎日なんて会えねぇんだよ!」
耐えきれずに口を開くと、それを上回る勢いでトモに言い返された。
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