恋なんて必要ないけれど

俺たちらしさ

「へぇ、同高なんだぁ！」

　リョウ先輩が俺の腕を引いてあぐらをかいて、そのまま俺たちも丸くなって座る。

「じゃあ、あの噂マジなのか？」
「マジですよ！」

　モト先輩が少し身を乗り出すと、なぜか食い気味でトモが頷くのを見て俺はその肩を引いた。

「あのハーフ美人と付き合ってんだ！何か凄ぇな！」

　なのにモト先輩はぽつりと呟くように言って、リョウ先輩はバッとこっちを見る。

「え!?あの金髪美女!?確かに居るだろ？とは言ったけど……マジか」

　バシバシと背中を叩かれてちょっと痛い。
　ダイとリキとヨッシー、あとウエ先輩は四人で話していて俺もできるならそっちに行きたかった。
　恋だの、彼女だの……そういう話は苦手だから。

「いつから付き合ってんだよー？」

　なのにリョウ先輩は解放してくれない。
　しかも、モト先輩とトモもじっとこっちを見てくる。

「……つい、さっき……です」
「んなわけねぇじゃん！しょっちゅう手繋いで歩いてた癖にー？」
「んー、噂はもっと前からだったよなぁ」

　逃げられなくて観念したのにトモは冗談を笑い飛ばすようにニヤリとして、モト先輩は顎に手をやった。

「……ちゃんと付き合うことにしたのは……本当にさっき、なんで」

　恥ずかしくなってきて声もどんどん小さくなって俯く。
　すると、リョウ先輩は俺の肩に手を回してトントンと軽く叩いた。

「それならここに来ててよかったのか？」