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「昨日ごめんなぁ!」
朝練に現れた三木を見てトモが走って行くのを目にしながら俺は座ったままバッシュの紐を結ぶ。
「アリスちゃん、めっちゃいい子だな!!」
笑顔で帰ってきたトモがスキップしながらボールを手にしてリングに向かったが、俺は意味がわからなくてただ首を傾げた。だが、
「ちょっと!小嶋!」
まだバッシュも履いていないバッソクの状態で滑りながら走ってきた三木に肩を叩かれる。
「何だよ?」
「何で謝られるの?」
本気で理解していないような顔をされたって俺にもそんなことはわからない。
「さぁ?何て言われたんだよ?」
「『昨日はセイを連れ去ってごめん』って……」
「あぁ……」
昨日、トモが気にしていたあれこれを思い出した。
「お前、付き合ったからっていつも傍に居て欲しいか?」
「ううん!」
「マメに連絡なんて欲しいか?」
「むしろ、ウザいから要らない!」
「な?じゃあ、気にするな!」
笑うと、三木は更に意味がわからないという顔をする。
「いいんだよ!これが俺たちらしさだ!」
「はぁ?」
眉を寄せる三木の白くて細い指が目に入って手を伸ばした。
「冷てっ」
パッと手を離すと三木はムッとして俺の首元にその冷えた手をくっつけてくる。
「バカっ!フザけんな!」
「小嶋、あったか〜」
「自分の首でやれ!」
バッと手を払って立ち上がっても三木の方が背が高いんだから後ろからまた普通に触られた。
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