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煩わしい
「何?ヘコんでんの?」
ちょんちょんと頭を突付かれて教室の机に伏せたまま顔を向ける。
そこには窓を開けて見下ろす三木が居て俺は反応することさえ億劫で目も伏せた。
「えー無視ぃ?」
その言葉と声のテンションが合っていなくて目を開ける。
「……何か用か?」
聞くと三木はあくびを隠すこともなくして、眠そうな目でこっちを見た。
確かに青とも緑とも言えない不思議なその色は涙で僅かに潤んでいて神秘的で、惹かれないと言えば嘘になる。
だが、トモのように騒ぐほどではない。
どんな色であろうとただの目だから。
「バド部は朝練しないでしょ?今度から朝練は女バスがあっち使うから男バスも一面使っていいよ」
「……は?」
頭で余計なことを考えていたからか余計に意味がわからなかった。
「だーかーらぁ、キクが……」
「キク?」
「うちのマネージャー!」
「あぁ……」
三木が面倒になってきているのがわかって思わず笑ってしまう。
「キクがバド部と話つけてくれて朝はお互い一面使えることになった!ってこと!」
笑われたのが気に障ったらしく、三木は俺の頭にグリグリと拳を押し付けてきた。
「お前らあっち側でいいのか?」
「更衣室近いもん」
「あっそ……なら遠慮なく」
その手を退けて体を起こす。
「サンキュ」
言う頃には三木はヒラヒラと手を振って歩き出していた。
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