煩わしい

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 バスケばかりを考えていられたら幸せなのに……現実は嫌でも突き付けられる。  一学期の期末テスト。  中学の頃はそれなりに上位でそこまで苦ではなかったのに高校に入ってそれは一変してしまった。  高校、初めてのテストで中学時代と変らない勉強量では学年二百人の中で百五十位台だった衝撃。  赤点の危機さえ感じるなんて……高一の最初から躓いた俺はとにかく焦った。  それまでは家に帰ってバスケで満たしていた頭に嫌でも勉強を刷り込む日々。  だが、救いの手というか……助かったのは…… 「セイ!今日も行くだろ?」  トモが肩にリュックをかけてやってきて俺も教科書をしまってから見上げる。  いつもにこにこ笑っていてトンチンカンな発言も多い癖にトモはめちゃくちゃ頭がいい。  そのトモが去年から一緒にテスト勉強をしてくれて、わからないところは教えてくれるようになって俺の順位も百位前後まで上がっている。 「うーっし!行くかー!」  トモと並んで教室を出ると、廊下にはダイとユウが待っていた。 「結局いっつもこの四人だよなぁ」  そのまま下駄箱に来て四人で自転車置き場まで来ると、トモは慣れたように俺の自転車のカゴにリュックを入れる。 「あー!マジで彼女欲しーっ!」  ゆっくり漕ぎ出していつもとは違う東門に向かうとトモは走りながら空に向かって喚いた。
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