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「コタの話。麗先輩に勉強教えてもらって成績も上がってって理想だろ?」
ユウもダイの分のグラスを置きながら腰を下ろす。
「あれはズルいんだよ!」
「「は?」」
グラスに口をつけてダンッと主張するトモにダイとユウが声を揃えた。
俺はもう呆れすぎて言葉にもならない。
「あんなちっちゃくて、かわいくて、頭もよくて、優しくて、天然で……困ってること、“身長差あり過ぎてたまに声が聞こえない”だぞ!?フザけんなっ!!」
どうやら変なスイッチを押したらしい。
コタと同中で行き帰りも一緒のトモには色々あるのかもしれない。
まぁ、それでも面倒でしかなくて俺はトモの方を見ないようにするが、ユウはオロオロと困った顔をしている。
「麗先輩が大学行って離れ離れかと思いきや、たまに駅で会ってるし!電話してやがるし!!」
「いや、付き合ってんだからそんくらいいいだろ?」
ダイもどうでもよさそうにノートを開いた。
「あいつ、俺の前でも普通に麗先輩抱き締めたりするんだぞ!?」
抱き締めるというより、麗先輩が転ぶのを支えているだけな気がするのも言わない。
「絶対キスとかもしてんじゃんっ!!」
くだらなさ過ぎて俺もトモ側の耳を塞いでプリントを取り出す。
「聞いてんのか!?お前らっ!!」
「「聞いてない」」
俺とダイがハモるとユウはまた更にオロオロしたが、喚こうとしたトモをじっと見て
「今、してるのは勉強だ」
一言発すると、トモは口を尖らせてやっとペンを手にした。
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