うんざり

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「同中なだけだが?」 「羨ましーっ!!……で?何話してたの?」  俺の机に両腕を置いてトモは期待に満ちた顔を向けてくる。  人懐っこい笑顔に大きな目。明るめの柔らかい茶髪に綺麗に弧を描いた愛嬌のある口元。 「部長会の日時も場所も三木(みき)が……」 「“ミキ”⁉セイが女子を呼び捨て!?」  大げさすぎるその反応にイラついて座ったまま脛を蹴ってやった。 「痛っ……もー冗談じゃねぇかぁ!“アリスちゃん”だろ?知ってるっつーの!」  トモは知らないらしい。  三木が名前で呼ばれるのを嫌っていることを。  だが、別に関わることもないだろうし、必要性は感じなくて指摘はしない。 「いいよなぁ。金髪に碧眼の美人」  何がいいと?  ほぅっと息を吐くトモを憐れに思いつつ俺は頭の中を切り替えた。  次は数学。  机から教科書やノートを出しているとトモは立ち上がって窓の向こうへと身を乗り出す。 「あー、何か残り香って言うの?この辺り空気違う気するよなぁ?」 「一緒だよ」  興奮してこっちに輝いた目を向けるトモ。  その沸騰しているらしい頭にためらわず教科書を振り落として、現実へと戻してやった。  女である三木がダラダラと忘れたらしい部長会のことを聞きに来ただけ。  たったそれだけのことでそこまで騒ぐトモが俺には理解できなかった。
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