うんざり

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 授業が終わって、 「あれ?部活行かねぇの?」  トモに首を傾げられてとりあえず微笑んでおく。 「今日、部長会だって言っただろ?昼前もその話したのに……副キャプテンお前だけど?大丈夫か?」  一瞬、「あ」と素直な反応を見せてトモはヘラヘラと笑った。 「大丈夫だって!ヨッシー居るし!」  聞いて軽く呆れつつ、確かに納得もする。  ヨッシー(吉井(よしい)流星(りゅうせい))はつい先日入部してくれた一年のマネージャーだ。  最初は男であることにブーブー言っていたトモだが、たった数日で相当信頼したらしい。  入部したてだがテキパキ仕事をこなし、身長百八十二センチの恵まれた体格でパス出しや軽いディフェンスなら入ってくれるのも助かっている。  中学の時に事故でバスケはできなくなったらしいが……練習を見ている限りは十分プレーできそうだ。  それまでマネージャーだった美音(みお)先輩が、引退してからは新キャプテンになった俺が練習メニューを組んでいた。  だが、今年は初心者の一年も二人入ってメニューを悩んでいたから、ヨッシーが考えてくれるようになって俺も助かっている。  しかも、美音先輩と同中の後輩らしく、俺が見ていたファイルとスコアブックを用意してくれたのもヨッシーだ。 「確かに。安心だな」 「何かひっどくね?」  頷くとトモが少し膨れる。  笑ってもう一度頼むと、俺は部活に向かうトモの後ろ姿を見送った。
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