うんざり

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 バスケは試合に出るのはそれぞれのチームから五人だが、ベンチには監督、アシスタントコーチ、マネージャーがそれぞれ入ってあとは選手が十五人まで入ることが可能だ。  三人しか居なかった三年の先輩が引退して、俺たち啓南(けいなん)男子バスケ部は二年が六人、一年が六人、マネージャーが一人で、そもそも人数としてはギリギリだったのだから今年は三人余裕があることになる。 「めっちゃ苦笑いされたねぇ」 「お前が訳わからんこと言うからだろ?」  やっと解放されて下駄箱に向かっていると、三木がいつもの調子で口を開いてため息しか出ない。  俺の頭の中には他の部が言っていた『人数が増えたので練習場所を増やして頂きたい』がずっと残っていた。 「でも、いっつも英語で話しかけられたり、英語できる前提で来られるんだもん!英語できない!って言っとくのは重要でしょ!」  珍しく力説してくる三木を見ると虚しさに襲われる。 「そのお前より英語できん奴に言うな」  こいつは無気力に見えるのにバスケだけでなく、勉強だって中学の頃から俺よりできた。  それに女バスは二年だけで十一人、一年も十三人でマネージャーが二人。  うちより大所帯なのにいつもコートを半面ずつで練習しているが、そこに不満はないのだろうか?  練習場所をもっと……試合成績だって女バスの方が上のため、そう言われたら……。 「小嶋ぁ」  呼ばれて顔を上げると、 「大好きな部活でしょ?バスケ!ね?」  三木が笑っていて俺たちはそれぞれ部室に向かった。
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