うんざり

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「すいませんっ!!」  制服のまま体育館の格子戸を開けて入ると、白いTシャツに濃紺のバスパンを履いたヨッシーがバッシュを鳴らしながら慌てて走ってきた。 「鍵迷ったんですけど、開けとくのも……って思って!」 「いいって!そこで着替えちゃうし。鍵してないと後でうるさいからいいよ」  申し訳なさそうなヨッシーに笑いかけながら舞台脇の階段にかばんを下ろしてネクタイを外す。  女バスは部室が並ぶ棟にマネージャーが来ていて部品を整理しながら三木を待っていた。  二人居るからできることで、男バスはヨッシーしか居ないのだから仕方ない。  ここで練習を指示してくれる方が何倍も助かるのは事実だ。 「お疲れー!部長会って何したの?」  ちょうど練習にキリがついたらしく、トモが小走りで走ってきてペットボトルに口をつけつつ首を傾げる。 「それぞれ部長が自己紹介して話聞いてくるだけ」 「うわっ、俺なら寝るぅっ!」 「セイがキャプテンでよかったってことだな」  くせ毛の黒髪であるダイ(秋元(あきもと)大輔(だいすけ))もやってきて、それとなく他も集まってきていた。  せっかく囲ってもらったうちにさっさとスラックスも脱いでバスパンに穿き替える。  一応、半面は女バスだし、もう一面のコートは女子バドミントンで全く気にならない訳ではなかった。
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