うんざり

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うんざり

 どいつもこいつも“彼女”だ“彼氏”だのと……正直うんざりする。 「えー?マジでぇ!?」  聞こえてくるムダに明るい男女の笑い声にため息しか出ない。    高校生活はたったの三年間。  部活なんて高三の春には引退してあとは受験勉強だから実質二年しかないのに、わざわざ恋人なんかに時間を使う意味がわからない。  俺はその貴重な時間をわざわざ女になんか使わない。使いたくもない。  もう女になんて関わりたくもないし、ただでさえ俺は身長、百六十六センチでバスケをするには不利だから。  しかも、頼りになるチームメイトに恵まれた今、できるなら可能な限りバスケに集中したかった。  そんな高校二年の春。  今年も同じクラスになった部活も一緒のトモ(下野(しもの)友樹(ともき))がにこやかに女たちと話しているのを見て、俺は呆れながら手元のファイルに目を落とした。  先輩たちが引退したその最後の試合のスコアブックと見比べる。 「やっぱ、シュウ先輩が抜けるのはデカいよなぁ」 「うっわ、真面目ぇっ!」  シャーペンで突付きながら呟いた瞬間に真横で声がして俺はその人物に頭突きを食らわせた。 「……っとに、あり得ない」  廊下で頭を押さえるその女を見て俺だって痛みがある頭を振ってシャーペンを回す。  金髪に緑がかった碧い目。真っ白な肌に長い手足。  誰もが振り返るその女はこっちを向いて口を尖らせた。 
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