噛み砕け、金平糖。

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 枕元に金平糖(こんぺいとう)が落ちていた。  寝ようとしてベッドに横になったら、後頭部にガリッと不快な痛みが走って、手で探ってみるとそれだった。  最初は小石かと思った。  だから、須屋裕志(すやゆうし)を手近にあるゴミ箱に放り投げたのだが、消灯後で薄暗いのと、近視と、眠気でぼんやりしてたのとで見事に外れて。  それでしっかり起き上がってもう一度手に取った。    金平糖。   小指の先ほどの大きさで、イガイガしてて、淡いパステルカラーのあれ。  眼球近くで確認して、裕志は思わず「ゲッ」と声をあげた。  小石と金平糖では大違い。  見た目の問題ではない。  金平糖はものなのだ。  ここ修学院高校駅伝部の男子寮において、居室での飲食は絶対禁止。持ってるだけでとんでもない量のペナルティーと想像を絶する恐ろしい罰が待っているという。  裕史はイガイガを摘んだまま二段ベッドの上段を見つめた。  ルームメイトの工藤倫也(くどうともや)は寝息をたててすでに眠っているようだった。
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