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「水沢さん・・・」 もう1度呼ばれ、わたしは恐る恐る振り返る・・・。 152センチのわたしよりも、大きな、大きな、この人・・・ 「お疲れ様です・・・」 どうにか絞り出した小さな声で、また下を向き挨拶をする。 「お疲れ様・・・」 この人に目も合わせられないまま、ペコリとお辞儀をして去ろうとした時・・・ 「早退する・・・」 「早退・・・ですか?」 あまりにこの人には似合わない言葉に、私は思わず見上げた。 身長は190センチ弱もあり、スーツを着ていても筋肉が凄いのが分かる。 綺麗な小麦色の肌に、短髪だけどお洒落にセットされた髪型。 キリッと大きく力強いはずの目は、今にも泣きそうな目をしている。 大きな身体をションボリとさせたこの人を、一生懸命見上げ聞く。 「体調・・・悪いですか?」 「体調は大丈夫・・・」 どう見ても具合が悪そうなのに、体調は大丈夫だそうで・・・ 「心が・・・」 「心、ですか・・・?」 「心が、痛くて・・・」 心?心臓・・・? 少し悩んだけど、やっぱり心配で・・・ 私の手を、この人の心臓に向かって伸ばしていく・・・ 「失恋したんだ。」 その言葉に、わたしの手は止まった。
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