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「これください」  店のレジに立っていた私の前に、一つの白い箱が差し出された。  珍しくも人が少なく、春のせいかぼーっとしていた私は我に返り、慌てて応対する。 「はい」  そう言ってお客の顔を見、息を吐く。 「郁也君」  彼は、白い箱の他にもう一つ、紙の束を差し出した。表紙には、『青い光に照らされて』とある。 「これ、春休みに書いたの。えみかちゃん、読みたいって言ってたから」 「すごい、もうできたの?」  郁也はこくんと頷く。それから、今まで見せたことのない、悪戯をしたような顔で言った。 「あともう一つ、プレゼント」 「えー、なになに?」  そう聞きながら白い箱を表にしてーー。私は息を呑む。  青い目をした王子様が、箱の中からこちらを見つめている。 「お小遣いで買うの。だから、えみかちゃんも一緒に、遊ぼう」  真っ青で透き通るような目がきらりと輝いたその時、私は、王子様と目があったような気がした。
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