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それ以上は望みません
何も要らない
今日で離れ離れになってしまうけど、一瞬だけ思ってくれたら僕は人生の宝物になる
どれだけいじめられても生きていける
「ありがとうございます」と小声で運命の番に告げ、僕は運命の番の腕で寝てしまった
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起きると鬼の顔をした店長が立っていた
「君!お客さんを見送らないでどうする!」と言われた
横を見るといたはずの運命の番が居ない
あれ?
「しかも、あの、超大企業の社長と出来損ないが寝たなんて…。」
「謝罪しないと……。はぁ~」
「二度とお客さんの前で出てきたらダメだからな!」
「は、はい…。」
そんなに言わなくてもいいじゃんと思ったが出来損ないは事実だしな
「VIP部屋だから、どいて!」
「あっ、はい」
と言って部屋を出た
そして、従業員の部屋に行くと、すごい目で見られた
ササッと荷物を取ったが、1人がドアに立って出ないようにしてきた
「何?あんたどんな手使って、あの人に媚び売ったの?」
「えっ?媚なんて売ってない」
「嘘をつくな!」
「あんなみたいなキモイやつに社長が興味を持つわけないのに」
「クソっ」
興味?何それ
「とにかく、社長に手を出すのは辞めて」
そんなもん知らないよと思ったけど、ここは素直に従っておこう
「はい」
そういうと立ち去ってくれた
なんか、よく分からないけど
昨日の人に手を出すなってことかな?
手なんか出せないよ。出したくても
そして、家に帰り、また出勤した
すると、何故かエントランスホールに従業員のみんなが集まってきてる
ん?だいぶ時間は早いのに寒いランジェリーを着ている
なんだろ
男の人を囲って、誘惑しているみたいだ
僕はそれを横目に通ろうとした瞬間声をかけられた
「優!」
聞き覚えのある声…。
無視して行くべきか
振り返るべきか
僕は二択で迷っていた
すると、「邪魔だ。どけ。このブスども」と言うドブとい声が聞こえた
えぇ!?
そして、従業員全員が道を開ける
「優、昨日ぶりだな」チュッとほっぺたにキスされた
「会いたかった」
僕は会いたい気持ち半分、何故ここにいるの?って気持ち半分
僕は返す言葉が無いので頷いた
「優もそう思ってくれたんだな、嬉しいよ」
ま、少ししか思ってない
「優、今日は大事な話がある」
ん?なんだろ、大事な話って
「あのクソと喋らないといけないが耐えてくれ」
と言われた
クソ?誰?
誰だろうと思っていたら店長がやってきた
「すみません、お待たせしてしまいました」と言われた
「あぁ、待ちくたびれたよ。もっと早く準備しろ」
怖い…。こんな人だったけ?
「すみません、すみません」と謝るものの、運命の番さんはあまり腑に落ちない感じだった
「まぁあいいよ。優、行こうか」
と言われ、事務室に入った
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