【期間限定で!】9.「男なんで」

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「う、わ!!」  ぐい、と力任せに手首を掴んで引っ張られ、あっさりと都和に抱きすくめられた。 「ちょっと!」 「よしよし。じゃあ、行って、お前は俺に惚れてることをよーくわかってこい。で」  どくん。 (え?)  哉有の胸が大きく鳴った。 「それを自覚して帰って、俺に上手におねだりしろよ」  ちゅ。 「美咲さん!!」  耳元に軽く口付けられ、真っ赤になった哉有が都和の腕を振り解いた。 「朝までとことん可愛がってやるから」 「アホかっ!」  ばたばた、バタン!!  くく。 (少女マンガの初恋かよ)  読んだことないけど。  いや、いいわ。あの反応。  都和はおかしそうに肩を震わせると、ローテーブルにあったグラスとつまみの入った小皿を取り上げた。プライドの高い赤城のことだ。無理に身体の関係を迫るようなことはないだろう。 「……美咲さん」 「ん」 「唇にごま」 「どっち」 「右」 「?」 「反対」 「……取って」  朝食時の一コマだが。  哉有、ため息。  朝からなんだ。このエセ恋人な雰囲気は。 「は……いっ!?」
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