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「う、わ!!」
ぐい、と力任せに手首を掴んで引っ張られ、あっさりと都和に抱きすくめられた。
「ちょっと!」
「よしよし。じゃあ、行って、お前は俺に惚れてることをよーくわかってこい。で」
どくん。
(え?)
哉有の胸が大きく鳴った。
「それを自覚して帰って、俺に上手におねだりしろよ」
ちゅ。
「美咲さん!!」
耳元に軽く口付けられ、真っ赤になった哉有が都和の腕を振り解いた。
「朝までとことん可愛がってやるから」
「アホかっ!」
ばたばた、バタン!!
くく。
(少女マンガの初恋かよ)
読んだことないけど。
いや、いいわ。あの反応。
都和はおかしそうに肩を震わせると、ローテーブルにあったグラスとつまみの入った小皿を取り上げた。プライドの高い赤城のことだ。無理に身体の関係を迫るようなことはないだろう。
「……美咲さん」
「ん」
「唇にごま」
「どっち」
「右」
「?」
「反対」
「……取って」
朝食時の一コマだが。
哉有、ため息。
朝からなんだ。このエセ恋人な雰囲気は。
「は……いっ!?」
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