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そして、その隣には。
(……次はあれか……。きれいな人だな)
見合写真③の彼女。哉有は、三人の中で一番綺麗な女性だと思った。
確か、どこかの財閥系一族のお嬢さんだったはず。
『顔はまあまあだし、家は一流だけどな。人となりはあんまりいい話は聞かないな。母親の料理教室には何年も前から通ってて、たまたま実家へ行った時に何回かはちあわせて話したことはあるけど、ああいうの、俺は拒否』
何となく興味で見合写真を眺めていた哉有に、彼女について都和が言ったそれ。
『そうなんですか?』
『甘やかされまくって、小学生がそのまま大人になった、みたいなのはよく聞く話。よくある、欲しいものはどんな手を使っても手に入れる、ってやつも。おもちゃだろうが、ライブのチケットだろうが、男だろうが、何でもな。金があるから、表でも裏でも顔が効くみたいだ……うんぬん、って話。まあ、噂なんて何が本当かわかったもんじゃないけどな。うちの母親も、何でまたあんなやつ』
「哉有?順番」
「え?あ」
哉有は慌ててスマホを出すと、ぴ。
「ありがとうございました」
二人が店を出ると、隣のキャッシャーで会計を済ませた美咲母と連れの女性もすぐに出てきた。親しげに話をしながら歩き、揃って待っていた車に乗り込んだ。
「……」
なんだかなあ……。
人は見た目で判断できない。
とは言うが。
(あんなにきれいな人なのに?)
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