2830人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、哉有の視線が、無意識に自分の左の薬指に動いた。
(……またお見合いもどきに俺までかつぎだされるわけ?)
ため息。
(なんだかんだ言ったって、絶対あっちの方がいいに決まってるよな。綺麗だし背は高いし、育ちも頭も良さそうで)
そして何より、
(胸もあるしさ、女の人だもんな)
都和はどうあれ。
世間的には、動物は異性同士でくっつく、という考え方が大半だ。
経営者や社会的にそれなりの地位や力を持っている人の配偶者に「Ω」なんて、聞いたこともない(というか。そもそもがΩの絶対数はαよりもさらに少ないので、αだからと言って自分にふさわしいΩと出会う確率がそうそうあったもんじゃないことに哉有は気づいていない)。
男は、女と番うのが本当だというのはちゃんと理解しているつもり。だけど。
(本当に俺、何で美咲さんのこと好きになっちゃったんだろ……)
どうでしょう。
そうでなくても、都和は何が何でも哉有を手に入れただろうと推察しますが。
急にどんよりとしてきた哉有を見、
「パフェる?」
とりあえず天笠は人参をぶら下げてみた。が。
哉有はあっさり首を横に振った。
「いい。スコーン食べに行こう」
「お。そーだった」
「男二人で目立つかもだけど」
「大丈夫だろ(普通のカップルにしか見えねーから)」
とりあえず、好きなもの食べて、気分転換しよう。
最初のコメントを投稿しよう!