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「見合写真③のひと、俺より全然背は高いし、綺麗だし、頭良さそうで、文句つけるところがない」
「どっかで見た?」
「今日、スーパーで美咲さんのお母さんと一緒に買い物してた」
じゃあ、と都和はシチューの皿をきれいにすると、スプーンを置いて正面の哉有を覗き込んだ。
「小っちゃくて可愛くて、頭が良くて料理がうまいお前のことを俺はめちゃくちゃ好きで見せつけてやりたいから、その指輪したまま来て」
「小っちゃいけど、別に可愛くないし、頭なんて良くない」
くす。
「評価は、自分じゃない第三者がするもんだろ」
かた、と都和は立ち上がってシチューのお代わりを自分の皿に入れた。
「言っとくけど」
哉有の後ろからテーブルに皿を置いて細い肩を抱きしめて。
「お前に選択肢はねえの。来いって言ってるのは俺の母親だぞ?良い方に考えるしかないだろ。お前にプラスになるなら、嫌がっても、引きずっていく。それに」
ぞ。
哉有の肩が震えた。
最近、Heatをしていなくても何故かこの声に身体が反応してしまう。
「そんなに嫌なら、俺に隠れてればいい」
「……そんなの」
「それでいいよ」
ちゅ。
「これで最後だから」
「……最後?」
「そう」
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