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【限定解除!?】8.やる気になったかもしれない
月曜日。
大学の講義が終わり、都和が頼んでいた書籍が届いたと連絡があったので、いつもの大学近くの大型書店の自動ドアの前まで来た時だった。
「…………」
いつだかも経験した、この感じ。
(何で、こうなる???)
もう、ため息しか出ない。
哉有が立った自動ドアの真正面からこちらを見ていたのは、どう見ても。
(……見合写真③だよ)
そう。金曜日に「初めまして」で出会うはずの、彼女だった。
そして、明らかに相手はこちらを「柊哉有」で「都和の番」だと認識している表情だ。驚く様子もなく、むしろ。
(この感じ。まさか、待ってたとか、ないよなー??)
そう思ってしまうほど、普通の……というよりも冷ややかな視線を突き刺してくる、見合写真③の彼女。
センサーが二人に反応し、自動ドアは当たり前の仕事をしてドアが開いた。
「こんにちは。柊哉有さん、ですよね」
穏やかそうに聞こえるが、明らかに棘だらけの声での挨拶が、哉有の耳に突き刺さった。
「……柊です。こんにちは。すみません、そちらのお名前を存じ上げなくて」
ふ、と相手は呆れたように笑った。
「気になさらないで。せっかくだわ。よかったら、お茶でもいかが」
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