【限定解除!?】8.やる気になったかもしれない

2/8
前へ
/247ページ
次へ
(全然せっかくじゃない。とっとと帰りたいんだけど)  はっきり言って、迷惑だ。 「いえ、このあと用事があります。本を取りに来ただけですので」  いつだかのように、断りを入れかけたが、 「私もあと10分しか時間はないの。少し、お話ししません?」  はあ。一体何をお話ししたいんでしょうか。  哉有は心中で大きなため息をついていた。さすがに女性にここまで食い下がられては、どうしようもない。 「じゃあ、10分だけ」  そして、いつぞやと同じように書店に併設されているコーヒーショップに入り、彼女はオリジナルコーヒーをストレートで、一番スタンダードなサイズで頼んだ。哉有はカフェオレをオーダーし、数分後には同じテーブルに向き合って座っていた。 (書店変えよう)  まあ、わからなくはない。 「失礼かもしれないけど」  彼女は名乗りもせずに、ひと口コーヒーを飲むと哉有を見た。  嫌な予感がして、哉有は手にしていたスマホの録音ボタンを押していた。  ぴ。 「あなた、本当にΩ型?」  その聞き方にカチンときた哉有はやや目を細め、 「本当に失礼ですね。そんなことは見ず知らずの人に聞かれることでも、答えることでもありません」  ピシャリと言うと、ごくんとカフェオレをひと口飲んだ。  なんだこいつ。
/247ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2830人が本棚に入れています
本棚に追加