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「小柄で可愛いけど、確かに声は男性よね。でも、都和さんがただの男性を相手にするとは思えないもの。……どうやって取り入ったの?男性同士での夜って、そんなにいいものなの?」
哉有の瞳が、半分瞼に隠れた。
「少なくとも、あなたはそんなに裕福なお家の出身ではないように思うけど」
否定はしませんよ。
「都和さんの妻にふさわしいのは、ある程度の資産を含めた家柄と、相応の教育と、品格でしょう」
確かに、それも正しいですが。
「都和さんはこれからどんどん立派になられる方だから、公私ともに支えられるような」
く、と思わず哉有は笑ってしまった。
「何?失礼ね」
哉有はかた、と椅子を押すと立ち上がった。
「自分の都合で人を引き止めて名乗りもせずに言いたい放題の、あなたのどこに品格があるのか、ぜひお聞きしたいですね」
ぴ。
「……え?」
哉有がスマホの録音停止ボタンを押すと、相手は明らかに怯んだ。
「それ」
「何ですか?」
「失礼よ」
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