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【限定解除!?】9.見合写真③の彼女
(……出た)
最後の見合いもどきの食事会当日。
見合写真③の彼女を見るなり半眼になった哉有を見た都和が、苦笑してそっと宥めるように頭を撫でた。
「哉有」
上目遣いに都和を見上げ、
「……はい」
少し落ち着いた哉有が小さく頷いた。
「初めまして。三井川美郷です。美咲先生のお教室には、3年前からお邪魔しています」
「お料理のセンスがとてもいいのよ」
そう、と都和はそっけなく応じると、
「美咲です。こっちは柊」
さっさと自分で哉有を紹介し、自分の隣に座らせた。
「どうした」
「……頭痛がするだけです」
酷い頭痛がして顔を顰めた哉有の髪をそっと撫で、
「母さん、頭痛薬ある?」
「あるわよ」
都和は母親から受け取った薬の箱をざっと見ると、一錠を半分より少し小さめに割って哉有に飲ませた。
哉有は、市販薬ならば通常の半分も服用すれば十分に効くのを担当医師に聞いている。
逆に、それ以上飲ませるとマズい。なので、気休めも含めてほんの少しだけ。
「横になるか」
「いいです」
美咲母は、何故かとてもご機嫌な雰囲気だ。
と言うよりも、何だかわくわくしているような。
「今日は、私が先生にお願いしたんです。ぜひ、都和さんとお話がしたくて」
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