2830人が本棚に入れています
本棚に追加
くす、と都和が笑った。
「ご両親に叱られませんか?自宅に番を囲ってる男と話なんて」
いいえ、と三井川は笑い、
「都和さんには奥さまもいらっしゃらないんですから、誰と遊んでも別に不思議な話では無いでしょう?」
あっさりと言った。
「魅力的な女性と出会えば、そうも言っていられなくなると思うけれど」
ほー。
「魅力的な?」
うず。
哉有の背中が痒くなり、治った頭痛が再発しかけて顔を顰めた。
こう言う社交辞令だか何の忖度だかの会話は本当に苦手だ。
哉有はそっと立ち上がるとキッチンに立った美咲母の正面に立ち、
「テーブル、手伝います」
「悪いわね。じゃあ、お願いするわ」
おもてなしスタッフ拝任。
動いている方がよほど気が楽だ。
ソファで話している二人を背にして、哉有は美咲母に指示されるままテーブルの用意を始めた。
たたき風牛ステーキ、天ぷら、刺身の盛り合わせ、茶碗蒸し、豆腐と青菜のサラダ、炊き込みごはん、汁もの。どれも都和が好む食材ばかりが使われている。
「三井川さんが作られたんですか」
「そうよ。隣でね。朝から頑張ってたわよ」
最初のコメントを投稿しよう!